【チーズのある生活】#1

イギリス伝統のチェダーチーズを食べ比べてみる

フランスやイタリア、スペインなどヨーロッパの食文化に欠かせないナチュラルチーズ。イギリスでも伝統的なチーズから新しいチーズまで幅広く楽しまれています。
作られる場所や乳の種類、熟成方法や季節によっても味わいの異なるチーズたち。ひとつひとつ違うからこそ楽しくおいしい。
チーズのある生活を楽しむためのヒントをお届けします。
 

英国の南西部Somersetにあるチェダー村発祥とされるチェダーチーズ。
その印象を聞くとアメリカ産の味気のないオレンジ色のチーズといった様な答えが返ってくるときがありますが、これは大きな間違い。故郷イギリスで作られている農家製のチェダーチーズは、複雑な牧草の香り、ほろりと崩れる独特の組織と特徴的な酸味、ときにシャープで複雑で豊かな味わいを感じるファンの多いチーズです。
特にパブ大国のイギリスでは、ビールやサイダーのお供にする事も多く伝統的な料理の数々にも使われていてイギリスの食文化とは切り離せない大切な食べ物の一つ。チャツネとあわせて食べるも良し、ハムと一緒にサンドイッチに挟めば簡単な軽食にもなり、溶かせばソースにもなる汎用性の高い人気者。

スーパーで販売しているチェダーも安くて美味しいけれど、専門店で購入する農家製はもっと美味しい。贅沢に料理に使ってみるのも良いけれど、ここではゆっくり落ち着いて、ひとつひとつの味の違いを見ていきましょう。

本記事では左から順に5種の異なるチェダーを紹介!

①Lincolnshire Poacher:牛、無殺菌乳
チェダーチーズの歴史からみると比較的若い世代であるLincolnshire Poacher。チェダーチーズとフランスの伝統的なコンテチーズの両方の特徴を併せ持つハイブリッド系チェダー。親しみのあるトーズとしたナッツのような香ばしさにパイナップルのほのかな甘み、そして余韻の長い旨味が特徴的。

②Keen's Cheddar:牛、無殺菌乳
伝統的なサマセット地方のチェダーチーズ。濃厚で滑らかなくちどけに明るい酸味と強い旨味が特徴的。
ガツンと来る強い味わいが好きな方や、お酒のお供にもピッタリ。

③Quicke's Goat Cheddar:山羊、殺菌乳
デヴォンの山羊乳を使用した変わり種のチェダーチーズ。ミネラルの香りと外皮に近づくにつれて感じるマスタードのようなピリッとした辛さが特徴的。山羊のチーズが好きな方には試して欲しいチーズ。

④Isle of Mull Cheddar:牛、無殺菌乳
ほのかにウイスキーのような香りを感じるハードな食感のスコットランド産のチェダーチーズ。ピリッと辛い味わいの物からフルーティーな味わいまで幅広い。強すぎない味わいが人気。

⑤Montgomery's Cheddar:牛、殺菌乳
もしかしたら、この中で一番人気(?)
長い歴史を誇るチェダーチーズの1つ。比較的マイルドな酸味とフルーティーな風味が美味しく、ハンバーガーやチーズトースト、ウェルシュラビットというような料理にも相性抜群。

ここで紹介したチェダーはほんの僅か。
他にもWestcomberやHafodというように、沢山の種類のチェダーチーズがイギリスにはあるので、旅行でイギリスを訪れた際には、ぜひ色々と試してみる事をお勧めします。もしチーズが余ってしまったり固くなってしまったら、削って合わせてチーズトーストにすると複雑な味わいが交じり合い美味しいのでおすすめです。

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