ロンドンでパン散歩Vol.4

クリエイティブな味わいと地元の魅力

連載第4回目は、インディペンデントなお店が集まる人気地区東ロンドンのHackneyを紹介したいと思います。土曜日は食品や古着、レコード店の集まるブロードウェイマーケットもあり、日曜日はコロンビアフラワーマーケットが開催されている。休日はいつも人で賑わい、歩いていてとても楽しいこのエリアには魅力的なお店が沢山!

FORNO

フォカッチャ、マリトッツォそれからチャバタ。
イタリアのパンと聞いて名前を挙げる事のできる種類はそこまで多くないかもしれません。実際イタリアのピエモンテ州に1年間留学していた際もパンの名前はそんなに気を留めていませんでした。所謂クロワッサンには杏子ジャムやカスタード、ヌテラのクリームが詰められていて、パンオショコラの様なものもまとめてブリオッシュと呼ばれていたのを覚えています。
北部で食べるパンもどうにも塩味に欠けていて、食感も水分量が足らずに少しドライな印象が強く残っている。当初の気持ちとしては、日本パンに慣れ親しんでる身からすると少し納得がいかなかったけれど、例えばお皿に残ったパスタのソース、ピリッと辛いオリーブオイルや甘みのあるバルサミコ酢等に浸して食べると、なんだか良い具合に味も食感も整ってやけに美味しい。イタリアの食文化恐るべし。
けれど、ブリオッシュとまとめて呼ばれるパンの類は最後まで好きになる事が出来なかった。果たして自分が求めるサクッとバター香るクロワッサンは何処にあるのか、その答えを探して4年以上の歳月が流れた2023年4月、ロンドンで新しく産声を上げたイタリア系ベーカリーFORNOの前に私はいました。

ぬくもりを感じる木の質感と大きく開いた入口のドアに吸い込まれる人々。

FORNOは人気イタリアンOmbraの系列となる初のPastificio(パスティーフィーチョ)兼パン屋。お店を構える場所は、レストランのすぐ近くに位置する電車の高架下で、アーチ形のお店は広く、奥行きのある空間。目の間に広がる美味しそうなパンとお菓子の数々は、頭の中で思い描いていたイタリアのパン屋とは一線を画す。

クロワッサンは、イタリア語でコルネットと表記されている
人気のマリトッツォ
全体的に甘さが控えめなため、何個でも食べれてしまう

イタリアと聞いてパンに苦手意識を持っている人はぜひ試して欲しい。
店内に入ってすぐの入り口付近には、サワードウやチャバタといった食事パンの種類も揃っています。また12時からはお昼の時間帯に併せてピザの販売があるので、小腹が空いたときにも便利なお店です。その他、パン以外にも焼き菓子やケーキを販売しているため、イタリアの行事に合わせて行ってみると新しい発見があるかもしれません。きっとコルネットのフィリングも季節によって変わるはず。

e5 Bakehouse

自家石臼挽きの国産小麦をしようしたパン屋として有名なe5 Bakehouseは地域密着体験型のベーカリーと呼んでもいいかもしれない。London Fields駅を出てすぐ隣にあるお店に一歩足を踏み入れれば、パンを焼くための道具が並んでいる棚が目に入り、その反対には多くのパンが並んでいる。その奥に見える大型の機械も迫力満点だ。
e5のパンの特徴はなんといってもパンを口に含んで噛むと広がる甘み、旨味それから心地の良い酸味だろう。特に噛めば噛むほどに深い味わいを感じる力強い小麦の味は、何度でも食べたくなる。
パンに関わるワークショップも開催しているので気になる人は公式サイトのチェックを忘れずに!

パンも焼き菓子も美味しい。黒ゴマフィナンシェは見つけたら食べてみてほしい。
Pockets

Netil marketでひと際目立つ存在となっているPockets Pitta Barは、今ロンドンで一番人気のピタサンドかもしれない。
メニューは1種類のみでシンプル。植物性の材料のみを使用しビーガンにも対応している。
ここのピタサンドを食べるためには列に並ぶ事必須なので、もしできるならば平日お店の開店と同時もしくは少し早めに行く事をおすすめしたい。ビーガンもベジタリアンもそうでない人も一度は食べてみて欲しい名店だ。

材料が何なの分からなかったが、美味しくて大きいピタサンドにお腹も心も満たされる。
ピタは常に熱々モチモチが維持されるように蒸し器のに保管している。

London Fields周辺には紹介しきれない程多くの良いお店があるので、週末にはマーケット散策と共にパン巡りを楽しんでも良いかもしれない。暖かく晴れた日に公園にパンと飲み物を持ち寄って過ごす友人との時間はきっと楽しいはず!

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